ボランティア活動に興味を持っていても、そもそもボランティアがどのようなものか疑問に思っていないでしょうか。
活動内容や注意点などが分からないと、不安になってしまいます。
そこで本記事では、ボランティアの定義や語源などに触れつつ、活動内容や参加するメリットなどを解説します。
さらに、ボランティアの探し方も説明するので、ぜひ参考にしてください。
ボランティア活動の定義
ボランティア活動の定義としては、以下の4つの性格がある活動のことを指します。
- 自主性・主体性
- 社会性・連帯性
- 無償性・無給性
- 創造性・開拓性
それぞれ具体的にどのような意味合いか詳しく解説します。
自主性・主体性
ボランティアは、自主性をもって主体的に参加するものです。
強制されて行うものではなく、参加したい人が自主的に参加するという点が前提のものです。
また、自分が「やりたい」と感じたボランティアがあれば、基本的に自由に参加の申し込みができます。
社会性・連帯性
ボランティアには、社会性と連帯性が伴います。
困っている人や助けを必要としている人をサポートする社会性、社会が抱えている課題を自分事として捉えて改善を目指す連帯性を持って活動するためです。
また、他のボランティア参加者同士で協力する場面もあることから、社会性と連帯性が求められるといえます。
無償性・無給性
基本的にボランティアは無償・無給で行います。
ボランティアは金銭的な報酬目的ではなく、活動を通して得られる出会いや経験などを通じて、喜びや感動、教訓などの精神的な報酬を得るものだからです。
なお、例外として、実費以上の報酬を受け取れる「有償ボランティア」もあります。
創造性・開拓性
ボランティアには創造性・開拓性が求められます。
社会が抱えている課題に対して、「どのような支援・対策が必要なのか」「より効果的な改善策はあるか」を考えることが大切だからです。
場合によっては、参加者が自由にアイデアを出しあいながら活動することもあります。
「頼まれたことをやる」だけではなく、社会が抱えている課題を見つけて、自発的に解決の手段を考える創造性があります。
ボランティア活動の語源
ボランティアの語源はラテン語の「決意する(VOLO)」の派生語といわれています。
「VOLO」は同じくラテン語の「自由意志(VOLUMTAS)」に由来するといわれており、「Will(〜したい)」という英語の語源です。
語源からも、ボランティアは参加者の自由意志に委ねられていることがわかります。
日本でボランティアの認知が広がったのは、1995年の阪神・淡路大震災がきっかけです。
1995年は「ボランティア元年」といわれ、全国で慈善活動が行われ始めました。
ボランティア活動の種類
ボランティア活動には、以下の2種類があります。
- 無償ボランティア
- 有償ボランティア
それぞれどのような特徴があるのか解説します。
無償ボランティア
無償ボランティアは、活動に対して報酬が一切発生しないものです。
そのため交通費や実費は基本的に自己負担となります。
なお、交通費や実費は支給され、それ以上の報酬は発生しないものを無償ボランティアと呼ぶ場合もあります。
有償ボランティア
有償ボランティアとは、活動に対して別途の報酬が支払われたり、実費以上の報酬が支払われたりするものです。
厚生労働省の資料では、「ボランティア活動を行い、実費や交通費、さらにはそれ以上の金銭を得る活動」を有償ボランティアと呼ぶ例もあると記載されています。
なお、報酬体系は時給制や日給制などがあり、主催団体によって異なります。
有償ボランティアについて詳しく知りたい方は、下記の記事で解説していますのでぜひ参考にしてください。
ボランティア活動の具体例
ボランティア活動の種類はさまざまあり、例を挙げると以下のとおりです。
- 高齢者・障害者の生活支援
- 子育てや教育の支援
- 地域貢献活動・環境保護
- まちづくり・まちおこし
- 被災地・被災者への支援
- 国際協力・交流
福祉関係や環境保護、まちおこしなど多様な活動があります。
他にどのような活動があるか詳しく知りたい方は、下記の記事もぜひ参考にしてください。
ボランティア活動に参加するメリット
ボランティア活動に参加すると、以下のようなさまざまなメリットを得られます。
- 受験や就活の際に評価される可能性がある
- 自分の得意分野や専門知識を生かして社会貢献できる
- 普段会えない人との交流を通じて人脈が広がる
それぞれ具体的に解説します。
受験や就活の際に評価される可能性がある
ボランティア経験がある人は、受験や就活の際に人間性を評価される可能性があります。
内閣府の調査によると、2021年の1年間にボランティア活動を「したことがある」と回答した人は17.4%でした。
参照:内閣府「2022 年度(令和4年度)市民の社会貢献に関する実態調査報告書」
また、厚生労働省の資料によると、ボランティア活動の担い手の中心は60歳以上の女性です。
そのため若い人のボランティア参加者は少ないといえます。
よって、若い人でボランティア経験がある人は希少性が高いといえるため、そこでの経験を話せば、その行動力が評価される可能性があります。
自分の得意分野や専門知識を生かして社会貢献できる
ボランティアでは、自分の得意分野や専門知識を生かして社会貢献できます。
ボランティア活動にはさまざまな種類があり、自分の強みを活かせるものを見つけやすいためです。
実際に内閣府の調査によると、実際にボランティア活動を「したことがある」と回答した人が参加したボランティア活動の分野は、「まちづくり・まちおこし」「子ども・青少年育成」など多岐に渡ります。
参照:内閣府「2022 年度(令和4年度)市民の社会貢献に関する実態調査報告書」
自分の得意分野や専門知識を活かせる活動に参加すれば、自身の強みを生かせます。
そうすればモチベーションを高く保てるうえ、より充実した活動となる可能性が高いです。
例えば、体力に自信がある人であれば、被災地の復興で重宝される可能性が高いでしょう。
他にも、大学で教育を先行している人であれば、子どもの教育に関連したボランティアに参加するという選択肢があります。
特に専門性を生かしたボランティアをプロボノといい、以下の記事で詳しく解説するので、参考にしてください。
普段会えない人との交流を通じて人脈が広がる
ボランティアへの参加を通じて、人脈が広がるメリットもあります。
厚生労働省の資料でも、ボランティア活動は公的サービスとは異なり、提供者(ボランティア参加者)と利用者(ボランティア支援を受ける人)の区別のない仲間関係が醸成されやすい旨の言及があります。
さらに、日本財団ボランティアセンターの資料でも、「参加したボランティア活動から得られたこと」の回答で最も多かったのは「さまざまな人との交流ができた」でした。
参照:日本財団ボランティアセンター「全国学生1万人アンケート~ボランティアに関する意識調査2023~」
家や学校、職場など普段のコミュニティではつながれないような人と接点を持つことで、多様な人脈が広がります。
社会貢献に関して高い意識を持っている人と接するなかで、自分自身のボランティア意識が高まったり、人脈を通じて仕事の紹介を受けたりする機会があるかもしれません。
その他にもメリットがいくつかあるため、興味がある方は以下の記事を参考にしてください。
ボランティア活動へ参加するときの注意点
ボランティア活動に参加する際には、いくつか注意すべきことがあります。
- 相手の立場に立って活動する
- 無償ボランティアだと経済的負担が発生する場合がある
- 災害復興に参加する場合は宿泊場所の確保を行う必要がある
- 必要に応じてボランティア活動保険に加入する
それぞれ具体的に解説します。
相手の立場に立って活動する
ボランティア活動を行う際には、サポートを受ける人や自分以外のボランティア参加者の気持ちに配慮することが大切です。
例えば、個人情報の取り扱いやプライバシーに配慮し、サポートを受ける人の個人情報を不用意に聞くのは慎むべきでしょう。
相手が求めていることを把握したうえで活動しないと、独りよがりになってしまい、結果的に有益な活動にならない恐れがあります。
「やってあげている」という心持ちではなく、思いやりの心を持って行動するとよいでしょう。
無償ボランティアだと経済的負担が発生する場合がある
ボランティアは無償性を伴うため、交通費や道具代などの実費負担が生じる可能性があります。
経済的に余裕がない人が無償ボランティアを行って、自分が苦しくなってしまうのはよくありません。
ボランティア活動に参加する際には、無償か有償か確認し、無償の場合はどの程度の費用負担がかかるかチェックしましょう。
災害復興に参加する場合は宿泊場所や備品の確保を行う必要がある
災害復興のボランティアに参加する際には、場合によっては宿泊場所や備品などを自分で確保する必要があります。
軽い気持ちで参加すると、現地で困る事態になりかねません。
全国社会福祉協議会によると、災害時のボランティアに参加する際は、水・食料・その他身の回りのものについてボランティア自身が事前に用意し、携行する必要があると記載されています。
災害復興のボランティアの際は、しっかりと情報を収集したうえで、現地に行くか否か判断しましょう。
必要に応じてボランティア活動保険に加入する
ボランティア活動に参加する際には、必要に応じて「ボランティア活動保険」に加入しましょう。
ボランティアは労働者ではないため、労災保険は適用されません。
もし活動中にケガをしても補償を受けられないため、必要であればボランティア活動保険へ加入してリスクに備えましょう。
ボランティア活動保険へ加入すれば、死亡や入院、手術などの事態に備えられます。
例えば、ボランティア活動中に転倒してケガを負ったり、他人の財物を壊したりしたときに保障を受けられます。
実際にどの程度の補償が受けられるのかというと、社会福祉法人全国社会福祉協議会の「ボランティア活動保険」では下記のとおりです。
- 死亡保険金:1,040万円
- 後遺障害保険金:最大1,040万円
- 入院保険金日額:6,500円
- 入院中の手術保険金:65,000円
- 外来の手術保険金:32,500円
- 通院保険金日額:4,000円
- 賠償責任保険金(対人・対物共通):最大5億円
安心してボランティア活動を行いたければ、念のため保険へ加入しておくとよいでしょう。
「ボランティア活動保険」への加入手続きを進める際は、自治体のボランティア活動センターまたは社会福祉協議会で相談したうえで行ってください。
ボランティア活動の探し方
ボランティア活動の探し方として代表的なのは、以下の方法です。
- ボランティア募集サイト(activo(アクティボ)・Yahoo!ボランティアなど)を利用する
- 自治体のボランティアセンターで相談する
- 社会福祉協議会で相談する
- 自治体のホームページを確認する
いずれの方法でも、自分の経験や強みを生かせるボランティアを探せます。
さまざまな分野のボランティア活動があるため、幅広く情報収集を行ってみてはいかがでしょうか。
ボランティアの特徴を把握して気持ちよく社会貢献しよう
ボランティアとは、自分自身の意思で参加し、社会が抱えている課題の解決を目指す素晴らしい活動です。
また、活動が受験や就活で有利に働いたり、より豊かな人脈が得られたりなどさまざまなメリットがあります。
ボランティア活動に興味がある方は、ぜひ自分の強みを生かせる活動や興味がある活動から参加を検討してみるとよいでしょう。