近年、NFTでの寄付ができる支援先が増えてきました。
NFTとは、ブロックチェーンという技術を使って、簡単にコピーできてしまう動画や写真などのデジタルデータに、唯一無二であるという証明ができるものです。
それによって、誰でも持てるはずのデジタルデータに、価値が生まれます。
NFTで寄付をすると、寄付の証明をしやすかったり、新しいテクノロジーに触れたりする機会になりえます。
一方、NFTの寄付は節税にならなかったり、トラブルに遭ったりするリスクがあるのです。
そこで本記事では、NFTの寄付の種類を事例とともに詳しく解説します。
さらに、メリットやデメリットまで説明するので、ぜひ最後まで参考にしてください。
NFTの寄付には3種類ある!事例を踏まえて解説
NFTの寄付には、主に以下の3種類があります。
- NFTで得た収益を寄付する
- NFTマーケットプレイスが売上の一部を寄付する
- 寄付をした返礼品としてNFTを配布する
それぞれ、事例を交えて解説します。
NFTで得た収益を寄付する
NFTの販売で得た収益を、社会的な目的や慈善活動に寄付する方法があります。
この方法は、クリエイターやアーティストが自分の作品を通じて、社会に貢献する手段として注目を浴びているのです。
代表例として、GMOインターネットグループ株式会社が運営するNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」で行われたウクライナへの寄付活動が挙げられます。
マーケットプレイスとは、クリエイターやアーティストが自らの作品をNFTとして出品・販売するプラットフォームです。
事例の詳細は、Adam自身が販売した「緊急人道支援チャリティNFT」の収益を、日本赤十字社の「ウクライナ人道危機救援金」に寄付するというものです。
NFTを活用した慈善活動の一例として、多くの関心を集めました。
NFTマーケットプレイスが売上の一部を寄付する
NFTマーケットプレイスの運営が、売上の一部を直接寄付をするという場合もあります。
消費者は気に入ったNFTを購入するだけで、慈善活動への支援を行えるのです。
実際の例として、HABET(ハビット)というマーケットプレイスが挙げられます。
HABETでは、取引から得られる手数料の一部を、Yahoo!ネット募金に登録している寄付団体に寄付しています。
ユーザーはNFTを楽しみながら、同時に社会的な貢献ができるのです。
寄付をした返礼品としてNFTを配布する
寄付をした返礼品として、自治体がNFTを配布するというケースもあります。
実例として、ものづくり企業を擬人化した燕三条NFT「匠の守護者」があります。
専門学校の学生がデザインしたオリジナルキャラクターNFTを、ふるさと納税の返礼品として配布しました。
NFTを活用して若いクリエイターの才能を発掘・支援し、独自性や地域の魅力を寄付者に提供できるようになりました。
さらに、NFTを受け取った寄付者同士での交流の場も生まれています。
同じNFTを持っている人同士で、新たなコミュニティやネットワークの形成を促進しています。
NFTを寄付するメリット3つ
NFTを寄付するメリットは、主に次の3つです。
- 寄付をした証明をしやすい
- 寄付のために購入したNFTの価格が上がる可能性がある
- 新しいテクノロジーに触れる機会になる
それぞれ解説します。
寄付をした証明をしやすい
NFTを用いて寄付をすると、寄付をしたという証明がしやすいです。
NFTはブロックチェーン上で取引されるため、誰が・いつ・いくらを寄付したのか公然と記録されます。
ブロックチェーンは、一度記録されたデータは改ざんが難しく、確実性が高いのが特徴です。
そのため、NFTの取引履歴を調べれば、寄付の事実が証明できます。
また、寄付者への感謝の意を示すため、特典として限定NFTの提供もブロックチェーンを使えば容易に行なえます。
さらに、確定申告の際に、NFTの取引履歴を証明資料として提出すれば、税務処理をスムーズに進められるのです。
寄付のために購入したNFTの価格が上がる可能性がある
寄付目的で購入したNFTの価格が、将来的に上昇する可能性があります。
寄付の目的で購入したNFTが、後に市場での人気や需要が高まれば、価格が上昇するかもしれません。
特に、アーティストやブランドに関連したNFTや、特定のイベントやキャンペーンに関連するNFTは、価値が上昇する可能性があります。
しかし、NFT市場は投機的な面が強いです。
短期間で価格が大きく上昇する可能性があれば、その後急速に価格が下落するリスクも考えられます。
寄付の目的でNFTを購入する際には、収益を主目的とするのではなく、おまけとして値上がりを楽しむ程度にしましょう。
新しいテクノロジーに触れる機会になる
NFTの寄付は、新しいテクノロジーに触れる機会になりえます。
NFTの取引は、仮想通貨を使用して行われるのが一般的です。
しかし、仮想通貨の取引がむずかしかったり、手続きが複雑だと感じたりするため、NFTに触れる機会はまだまだ多くないのが現状です。
仮想通貨やNFTは、今後のデジタル時代により重要視される可能性が高いので、寄付という社会貢献活動を通して、触れてみるのもよいでしょう。
NFTの寄付のデメリット4つ
NFT寄付には、以下の4つのデメリットがあります。
- NFTを寄付しても節税にならない
- NFTに慣れてない人は扱いがむずかしい
- トラブルに遭うリスクがある
- 寄付先が少ない
それぞれ解説します。
NFTを寄付しても節税にならない
NFTで寄付をしても、寄附金控除の対象とはならないので節税になりません。
寄附金控除とは、所得から寄付金を控除できる制度で、それにより税額の計算対象となる所得が減って、税金が安くなります。
しかし、NFTや仮想通貨は、まだ寄附金控除の対象と認められていません。
NFTや仮想通貨が通常の貨幣とは異なる性質を持つため、従来の税制上の枠組みに当てはめるのがむずかしいという背景があります。
もし寄付を通して節税したいなら、日本円で寄付を行いましょう。
寄付による節税について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
NFTに慣れてない人は扱いが難しい
NFTは取引や保有には特有の知識やスキルが必要であり、慣れていない人には取り扱いが難しく感じる場合があります。
NFTを保有や取引するには、デジタルウォレットのセットアップという少し難易度が高い手続きが必要です。
間違った操作をすると、大切な資産を失う可能性があります。
また、NFTの取引は多くの場合は、仮想通貨を用いて行われます。
仮想通貨の取得や送金、交換などの手続きも、人によっては難しいと感じるでしょう。
トラブルに遭うリスクがある
NFTは、取引や寄付の際にトラブルが発生する可能性があります。
具体例を挙げると、主に以下の3つです。
- NFTがうまく送付されない
- NFTを購入できない
- 詐欺のリンクをクリックしてしまって資産を抜き取られる
トラブルに対する対策には、主に以下の3つがあります。
- 公式以外からのリンクはクリックしない
- 誤字のない正しいURLになっているかを確認する
上記を意識して、少しでも怪しいと思ったら取引をやめるようにしましょう。
寄付先が少ない
現状、NFTを受けつけている寄付先や慈善団体は、まだまだ少ないです。
NFTや仮想通貨を受け入れるには、技術的な障壁やセキュリティ面でのリスク、価値の変動性など多くの課題が存在します。
自分が寄付したいと考えている支援先がNFTを受け付けているのかどうか、必ずあらかじめ確認しましょう。
NFTの寄付は課題が多いが今後広がっていく可能性がある
NFTの寄付は、寄付の証明を容易にしたり、新しいテクノロジーに触れる機会になったりするメリットがあります。
ただし、トラブルに巻き込まれやすかったり、まだ寄付先が少なかったりするという点がデメリットです。
とはいえ、NFTを活用した寄付の事例は増えています。
今後、税制が改正されて節税につながったり、特典が増えたりしたら、NFTの寄付は広がっていくでしょう。
また、NFTでなく、仮想通貨での寄付をすることも可能です。
仮想通貨での寄付について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。