寄付金の勘定科目はどう仕訳する?法人・個人でそれぞれ解説

寄付金の勘定科目はどう仕訳する?法人・個人でそれぞれ解説

寄付金を仕訳する時は、場合によって「寄付金」以外の勘定科目を使用します。本記事では、寄付金を支払ったり、受け取ったりした際の勘定科目の使い分けを、法人・個人ごとに解説します。寄付金を正しく仕訳して、スムーズに税務処理をしましょう。

寄付金を支出したり、受け取ったりした場合、内容に応じて使うべき勘定科目が異なります。

そうなると、どの勘定科目で仕訳するべきか迷いますよね。

この記事では、法人と個人の場合に分けつつ、さらに具体例を出して説明します。

記事を最後まで読むと、寄付金を支出した時にどの勘定科目を使うべきか、どう仕訳すればいいか分かります。

正しく仕訳ができれば、スムーズに税務処理できるので、ぜひ最後までご覧ください。

法人の寄付金の仕訳

法人の寄付金の仕訳は、「支払った場合」と「受け取った場合」で異なります。

それぞれ判断基準と共に、詳しく解説します。

もし法人の寄付について詳しく知りたければ、以下の記事を参考にしてください。

寄付金を支払った場合に使う勘定科目と仕訳方法

法人が寄付金を支払った場合に主に使う勘定科目は、主に以下の通りです。

  • お金や物を寄付しただけ:寄付金
  • 宣伝性がある:広告宣伝費
  • 事業に関係する相手に寄付した:交際費
  • 福利厚生の要素がある:福利厚生費
  • 給与の要素がある:給与

仕訳のポイントが分かると、比較的簡単に分類できるようになるので、それぞれ具体例を出しながら解説します。

お金や物を寄付しただけなら「寄付金」

利害関係なくお金や物を寄付したら、勘定科目は「寄付金」です。

例えば、公立高校への寄付金や、認定NPO法人への寄付が挙げられます。

寄付をしたら、以下のように記帳します。

(例:認定NPO法人に現金5万円を寄付した)

借方貸方
寄付金50,000円現金50,000円

利害関係のない寄付は、「寄付金」として処理します。

宣伝性があれば「広告宣伝費」

寄付金を出した際に宣伝性があれば、使うべき勘定科目は「広告宣伝費」です。

例えば、地元の花火大会に寄付し、協賛企業として、当日に会社名が読み上げられる場合などです。

このケースで仕訳をすると、以下のようになります。

(例:地元の花火大会に協賛金として現金5万円を支払った。なお、打ち上げの際に協賛企業名が読み上げられる)

借方貸方
広告宣伝費50,000円現金50,000円

寄付金を出した際に宣伝性があれば「広告宣伝費」として処理します。

事業に関係する相手に寄付したら「交際費」

事業で関係する相手に寄付をしたら、勘定科目は「接待交際費」です。

例えば、寄付のように取引先へ無償で資産を譲渡した結果、相手との関係が強化されたり、新たな取引につながったりなどする場合です。

(例:取引先主催の食事会に協賛金として現金5万円を支出した)

借方貸方
接待交際費50,000円現金50,000円

協賛金であっても、事業に関係する相手に寄付したら「交際費」として処理します。

福利厚生の要素があったら「福利厚生費」

寄付金に福利厚生の要素があるなら、勘定科目は「福利厚生費」です。

例えば、慶弔見舞金を従業員に支出した場合、従業員の慰安が目的となるため、福利厚生費となります。

(例:従業員に対し、社内規定に基づき慶弔見舞金として現金3万円を支出した)

借方貸方
福利厚生費30,000円現金30,000円

福利厚生の要素がある支出は、「福利厚生費」として処理します。

給与の要素があったら「給料」

給与の要素がある場合は、無償の譲渡であっても、適切な勘定科目は「給与」です。

例えば、役員の結婚披露宴の費用を会社から支出した場合が該当します。

(例:会社役員の結婚披露宴に、会社から50万円支出した)

借方貸方
役員報酬500,000円現金500,000円

なお、役員報酬は利益処分の性質があることから、例のような臨時の役員報酬は法人税の課税所得計算では、損金不算入になる可能性が高いです。

寄付金を受け取った場合に使う勘定科目と仕訳方法

法人が寄付金を受け取った場合は、「受贈益」の勘定科目を使いましょう。

例えば、個人から土地などの財産を無償でもらったり、現金をもらったりする場合です。

法人が寄付金を受け取る場合は、個人から・法人からに関わらず、勘定科目は「受贈益」になります。

(例:個人から時価1,000万円の土地が贈与された)

借方貸方
土地代10,000,000円土地受増益10,000,000円

土地などの財産は、時価の金額を「受贈益」として処理します。

なお、法人は利益が増えるため、法人税が多くなります。

物品を購入して寄付した場合の購入代金は課税仕入れ

金銭ではなく、物品を購入して寄付した場合の購入代金は課税仕入れとなるので注意してください。

例えば、お中元やお歳暮などのような贈答品を購入して、取引先に渡した場合などです。

ただし、商品券の交付や祝金などの支出は課税仕入れになりません。

個人間の寄付金には贈与税かかる

個人から寄付金を受け取った場合、年間110万円を超えると贈与税が課税されます。

課税された場合は、贈与を受けた個人が納税します。

例として分かりやすいのは、現金の受け取りでしょう。

また、土地や家屋をはじめ、貴金属・宝石なども該当します。

贈与税の申告方法は、e-tax・国税庁のホームページや税務署で申告書を取得し、贈与を受けた年の翌年の2月1日〜3月15日までに提出が必要です。

寄付金となる支出の種類

大きく分けて以下の5つへの支出は、寄付金として取り扱えます。

  • 国や地方公共団体:公立高校・公立図書館への寄付 など
  • 財務大臣が指定した寄付金:国宝の修復・オリンピック開催 など
  • 特定公益増進法人など:独立行政法人・日本赤十字社 など
  • 認定NPO法人
  • 一般の寄付金:神社・町内会 など

これらの寄付金のうち、利害関係がなければ勘定科目は「寄付金」です。

寄付金で使われる勘定科目を知って正しく仕訳しよう

寄付金の勘定科目は法人と個人で異なります。

今回解説した具体例をみながら正しく仕訳して、正しく税務処理をしましょう。