相続財産の寄付は寄附金控除を受けられる?節税額をシミュレーション!

相続財産の寄付は寄附金控除を受けられる?節税額をシミュレーション!

故人の遺産を寄付をする場合、節税効果があるのかよく分からずお困りではないでしょうか。この記事では、相続財産を寄付した際に節税になるのかやその注意点などを詳しく解説します。記事の後半では、実際の節税額をシミュレーションするのでぜひご覧ください。

相続財産を寄付すると、どのくらい節税になるか分からずお悩みではないでしょうか。

この記事では相続財産を寄付すると、寄附金控除が受けられる団体のジャンルや節税額をシミュレーションしつつ解説します。

記事を最後まで読むと、相続財産を寄付した時の節税額のイメージや申告期限などがわかるのでぜひご覧ください。

相続財産を寄付すると寄附金控除が受けられる

相続財産を特定団体に寄付すると、寄附金控除が受けられます。

なお、寄附金控除を受けるためには、相続人の意思で寄付する必要があるので注意してください。

寄附金控除の対象となる寄付先の代表例は、以下の通りです。

・国や地方公共団体:公立中学校・公立図書館など
・指定寄付金:国宝の修理・オリンピック開催など
・特定公益増進法人:独立行政法人・日本赤十字社など
・政治団体など
・認定特定非営利活動法人など

また、相続財産の寄付には、以下のような特徴があります。

  • 指定の団体に相続財産を寄付すると相続税が非課税になる
  • ふるさと納税に使うと返礼品がもらえる
  • 遺言による寄付は寄附金控除の対象外

相続財産の寄付について知らないと、思ったほど節税にならないことがあるため、順に解説します。

指定の団体に相続財産を寄付すると相続税が非課税になる

相続や遺贈によって取得した財産を指定の団体に寄付した場合、相続税の計算の対象外となります。

これを「相続税の非課税の特例」といいます。

指定の団体とは、具体的には以下の通りです。

  • 地方公共団体
  • 公益法人
  • 認定NPO法人
  • 特定の公益信託の信託財産

例えば、相続した財産のうち30万円の現金を地方公共団体に寄付したとしましょう。

すると、30万円は相続税の計算時に除外されます。

また、生命保険金や退職手当金も特例の対象です。

ふるさと納税に使えば返礼品ももらえる

相続財産をふるさと納税に使えば、寄附金控除を受けつつ返礼品がもらえます。

例えば、ある自治体に50,000円寄付した場合、納税額から自己負担分2,000円を引いた48,000円が控除され、所得税と住民税が安くなります。

さらに、自治体独自の返礼品を受け取れるのです。

ふるさと納税に利用すれば、節税とお得な返礼品の2つのメリットがあります。

遺言による寄付は寄附金控除の対象外

遺言による寄付は、寄附金控除の適用対象外です。

あくまで被相続人の意志による寄付と判断されるのが理由となります。

なお、原則、相続税の対象ともならないので安心してください。

相続財産を寄付する時の注意点

相続財産を寄付する時の注意点は、主に以下の4つです。

  • 相続財産を現金や別の資産に変えない
  • 受領証明書は保管する
  • 相続開始から10ヶ月以内に寄付をして申告する
  • 不動産の譲渡はみなし譲渡になる場合がある

注意点を知らずに寄付してしまうと、寄附金控除や相続財産の非課税の特例が受けられなかったり、正しく確定申告できなかったりします。

そうならないよう順に解説します。

相続財産を現金や別の資産に変えない

相続財産を現金や別の資産に変えてはいけません。

相続税非課税の特例を受けるためには、相続財産の形を変えずに寄付する必要があります。

例えば、不動産や株式を相続後、現金に変えてから寄付するなどです。

このように資産の形を変えてしまうと、相続税非課税の特例の対象外になります。

なお、寄付先によっては、現金しか受け付けていない場合があるため、事前に確認しておきましょう。

受領証明書は忘れずに保管する

寄付をした後に団体から送付される受領証明書は、忘れずに保管しましょう。

確定申告時に、受領証明書を寄付の事実を客観的に証明する資料として添付します。

受領証明書がないと、寄附金控除を受けられないので注意してください。

相続開始から10ヶ月以内に寄付して申告する

相続財産は、相続開始から10ヶ月以内に寄付をして申告する必要があります。

10ヶ月以内に申告しないと、寄附金控除や相続税の非課税の特例を受けられないので注意してください。

不動産の譲渡はみなし譲渡になる場合がある

法人に対して不動産を寄付すると、みなし譲渡になる場合があるため注意が必要です。

みなし譲渡とは、両者の合意や意図がなくても、贈与したとみなされる譲渡を指します。

もしみなし譲渡と判断された場合、譲渡による所得がなくても、時価で利益があったと判断されたら、所得税や消費税が課税されるので注意してください。

代表例は以下のような場合です。

  • 不動産の遺贈
  • 不動産価格を著しく低く見積もり譲渡

上記による相続税逃れを相続税の滞納を防ぐためにできたのが、みなし譲渡制度です。

ただし、個人間での贈与や低額譲渡は該当しないので安心してください。

相続税の寄付で実際にいくら節税できるかシミュレーション

相続した財産を寄付して、実際にいくら節税できるのかシミュレーションしました。

諸条件は以下の通りです。

・相続税率:20%
・所得税率:10%
・課税所得:300万円

上記の条件を満たす人が相続財産の中で10万円を認定NPO法人に寄付した場合をシミュレーションしました。

結論からいうと、寄付金控除によって30,006円の節税ができます。

詳しい計算式は以下の通りです。

相続税の減税分は、寄付金額に税率の20%をかけて求めるため以下になります。

寄付金額10万円×相続税率20%=20,000円

そして、所得税の減税分は、寄付金額から2,000円を引いた金額に所得税率10%と1.021をかけて求めます。

寄付金額10万円ー2,000円×所得税率10%×1.021=10,006円

最後に相続税分と所得税分を足した金額が、実際の節税金額です。

相続税分20,000円+所得税分10,006円=30,006円

ここまでの計算により、10万円の相続財産を寄付すると、30,006円の節税ができます。

相続財産を寄付すると節税につながる

相続財産を寄付すると、節税や相続税の計算対象外にできる場合があります。

なお、寄付したら10ヶ月以内の申告が必要です。

節税金額はシミュレーションで試算できるため、よければ相続財産の寄付を検討してみてください。