寄付のメリット・デメリットとは?個人と法人ごとに解説

寄付のメリット・デメリットとは?個人と法人ごとに解説

ニュースで多額の寄付をしたことを知ったり、友人や知人が寄付をしていたりする人は少なくないのではないでしょうか。寄付は自分のお金や物品を無償で渡すことであるため、どのようなメリットを感じて行っているのか詳しく知らない人は多いと思います。そこで寄付によって得られるメリットを解説しつつ、デメリットについても詳しく説明しましょう

度々、個人や法人が多額の寄付を行って、ニュースになることがあります。また、身近でも、少額を寄付をしている場面を見かけた人は少なくないのではないでしょうか。

しかし、寄付とは言い換えれば、お金を無償であげること。懸命に稼いだお金を寄付する個人や法人は、どのようなメリットを期待して行っているのでしょうか。

結論からいうと、寄付という行為自体に満足できるからという精神的なメリットもありますが、節税対策という実益的なメリットもあるのです。とはいえ、寄付によるデメリットがあるのも事実。

そこで本記事では、個人・法人が寄付するメリットを詳しく解説します。また、寄付を受ける側の意外なメリットや寄付をする方法なども説明するので、ぜひ参考にしてください。

個人が寄付するメリット・デメリット

個人が寄付するメリット・デメリットは、次の通りです。

(メリット)

  • 所得税と住民税の節税対策になる
  • 好きな自治体や団体を応援できる
  • 良いことをしたという満足感が得られる
  • ふるさと納税すれば節税しつつ特産品がもらえる

(デメリット)

  • 寄付をするために一定の支出が必要となる
  • 寄付金が何に使われたか分からない場合がある
  • 寄付先によっては節税対策にならない
  • 周りに無駄遣いをしていると思われる可能性がある

税金が安くなるという実益になるメリットもあるのです。ただし、寄付先によっては、節税対策にならないので注意してください。

4つのメリット

まず個人が寄付するメリットは、次の4つです。

  • 所得税と住民税の節税対策になる
  • 好きな自治体や団体を応援できる
  • 良いことをしたという満足感が得られる
  • ふるさと納税すれば節税しつつ特産品がもらえる

それぞれ詳しく説明します。

所得税と住民税の節税対策になる

個人が寄付すると、寄付金控除の対象となり、所得税と住民税の節税対策となります。

寄付金控除とは、対象の寄付をした際に、寄付金額分を所得控除できるものです。つまり、税金の計算対象となる所得を、寄付金額分だけ減らせるため、結果として税金が安くなります。

また、住民税は所得税額によって決まるため、寄付によって所得税を安くできれば、住民税額も安くなるのです。

さらに、政党や認定NPO法人などへの寄付は、税額控除が適用でき、さらなる節税対策になります。

税額控除とは、最終的に計算された所得税額から一定の金額を差し引くことです。所得税を直接減らせるため、節税効果が高いといえます。

先述した寄付金控除による所得控除と、税額控除の違いは下記を参考にしてください。

(所得控除と税額控除の違い)

所得控除と税額控除の違い

ちなみに、認定NPO法人への寄付には、他にもメリットが多くあります。

下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

また、個人事業主でも同じことがいえるので、詳しく知りたい方は以下の記事をを参照してください。

好きな自治体や団体を応援できる

寄付をすることによって、自分の好きな自治体や団体を応援できます。

寄付先によっては、寄付者に対して定期的にお礼の手紙や活動実績を送ってくれます。それによって、自分の応援が世のため人のためになってると実感できるのです。

例えば、恵まれない子どもたちへの支援を行っている認定NPO法人のフローレンスでは、寄付者に対して、メールで活動報告を送っています。自分の寄付がどのように役立っているのか分かるようになっているのです。

好きな自治体や団体を寄付によって応援し、社会貢献ができます。

良いことをしたという満足感が得られる

寄付という行為を通して、自分は良いことをしたという満足度が得られます。

寄付は、寄付先にとっては金額に関わらず非常に嬉しいものです。さらに、基本的に社会のために活動している団体へお金が渡るので、普段はなかなかできない社会貢献ができるのです。

見知らぬ誰かのために行動したという事実が、満足感につながります。

ふるさと納税すれば節税しつつ特産品がもらえる

ふるさと納税という制度を使って寄付すると、所得税・住民税の節税対策だけでなく、寄付先のお礼品ももらえます。

ふるさと納税とは、地方創生のための公的な制度で、寄付金額から2,000円を除いた金額が所得控除されるのです。

さらに、寄付先から肉や魚、果物や日用品など様々な特産品や商品をもらえます。

ただし、ふるさと納税できる金額には上限があり、世帯や年収などによって異なるので注意してください。

具体的な金額は、ふるさと納税サイトで確認できます。

ふるさと納税で寄付すれば、地方自治体への応援と節税をしつつ、お礼品ももらえて非常にお得です。

4つのデメリット

一方、個人が寄付するデメリットは、次の通りです。

  • 寄付をするために一定の支出が必要となる
  • 寄付金が何に使われたか分からない場合がある
  • 寄付先によっては節税対策にならない
  • 周りに無駄遣いをしていると思われる可能性がある

安易に寄付するのは、リスクがあります。それぞれ詳しく解説しましょう。

寄付をするために一定の支出が必要となる

寄付をするためには、当然その分のお金が必要です。無理でない範囲で、寄付をしてください。

とはいえ、コンビニや駅前で見かける募金箱への寄付は、1円からでもできます。決して多額のお金が必要ではありません。

自分の寄付金が何に使われたか分からない場合がある

自分の寄付金が何に使われたか分からない場合があり、本当に誰かの助けになっているのか感じにくい時があります。

活動実績が明瞭であったり、定期的な報告や発信があったりすることを確認できる団体に寄付するとよいでしょう。

寄付先によっては節税対策にならない

寄付先によっては、節税対策の対象とならない場合があるので注意してください。

例えば、NPO法人への寄付は寄付金控除の対象とならないため、節税になりません。ただし、認定NPO法人への寄付については、寄付金控除の対象となります。

認定NPO法人とは、自治体から活動実績を認められた非営利組織のことです。

他にも、節税対策とならない寄付先は存在するので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

周りに無駄遣いをしていると思われる可能性がある

寄付をしていると理解のない人に話すと、無駄遣いをしていると思われる場合があります。

もちろん気にする必要はありません。ただし、あまり積極的に話過ぎると、相手をやや不愉快にさせる可能性はあるので注意しましょう。

法人が寄付するメリット・デメリット

法人が寄付するメリット・デメリットは、次の通りです。

(メリット)

  • 法人税の節税対策になる
  • CSR活動の宣伝になる

(デメリット)

事務処理の手間がかかる

事務処理の手間がかかるものの、法人が寄付するメリットは多くあります。それぞれ詳しく説明します。

また、法人の寄付については、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

法人が寄付する2つのメリット

まず法人が寄付するメリットは、次の2つです。

  • 法人税の節税対策になる
  • CSR活動の宣伝になる

税金対策とともに、CSR活動の宣伝になるので、一石二鳥といえます。

法人税の節税対策になる

法人が寄付を行うと、損金算入もしくは税額控除によって、法人税を節税できます。

  • 損金算入:税務上の売上(益金)から費用として差し引くもの。
  • 税額控除:最終的な税額から差し引くもの。

(損金算入)

損金算入

(税額控除)

税額控除

ただし、寄付先や寄付の方法によって、損金算入や税額控除の金額の上限が異なります。詳しくは下記の記事で解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。

CSR活動の宣伝になる

寄付を行うと、CSR活動の宣伝につながります。CSR活動とは、企業の社会的責任を意味し、世間的な企業価値の向上が期待できるのです。

寄付先によっては、公式サイトや各種資料に自社の名前を寄付者として掲載してくれるため、CSRの実績にできます。

デメリットは事務処理の手間がかかること

法人が寄付するデメリットは、事務処理の手間がかかることです。

寄付を行ったら、決算時期に寄付金の税務処理が必要となります。また、それにあたって書類の準備などの手間がかかるのです。

とはいえ、デメリット以上にメリットが多いので、しっかりと準備しておくことをおすすめします。

寄付を受ける側の2つのメリット

寄付を受ける側のメリットは、次の2つです。

  • 活動資金が増える
  • 宣伝活動につながる

活動資金が増えるだけでなく、寄付を募集するということ自体が団体の宣伝につながります。

活動資金が増える

寄付を受ければ、その分活動資金に充てられ、より積極的に活動できるようになります。

また、基本的に受け取った寄付金には税金がかかりません。額面をそのまま活動資金に使えるので、非常に魅力的です。

宣伝活動につながる

寄付を募集するためには、活動内容や実績を発信する必要があります。

結果、多くの人の目に留まることが増えるため、宣伝活動につながるのです。

寄付できるものの種類は多い

実は、寄付できるものの種類は、金銭だけでなく下記のようなものもあります。

  • 物品:古着やおもちゃなど
  • 人手(ボランティア):現地に直接行って支援する

実は寄付できるものの種類は意外と多いので、ぜひ自分がなにかできることはないか探してみるとよいでしょう。

詳しくは下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

寄付先の選び方

寄付先の選び方に迷った場合は、以下の基準を用いるとよいでしょう。

  • 節税につながる団体を選ぶ
  • 活動実績が豊富な団体を選ぶ
  • 自分の興味ある分野や応援したい活動をしている団体を選ぶ

節税目的であれば、寄付によって節税になる団体を選ぶのは必須です。

一方、社会貢献のために行うのであれば、寄付先の活動実績や自身の寄付の目的を把握しておくのをおすすめします。

そうすることで、自分が納得できる形で寄付できるためです。

個人が寄付する方法

個人が寄付する方法を種類ごとにまとめると、下記の通りです。

寄付できるもの寄付方法
金銭・クラウドファンディング
・インターネット募金
・国際協力団体の会員になる
物品1.寄付する物品を用意する
2.用意した物品を寄付できる寄付先を探す
人手(ボランティア)下記のいずれかからボランティアに参加する
・エージェント
・国内のNPO
・現地で活動しているNGO

ぜひご自身で興味のあるものや寄付が可能なものを、試しに寄付してみてください。

寄付するメリットはたくさんある!余裕資金があれば積極的に行おう

寄付するメリットは、個人・法人の共に多くあります。また、受け取る側も嬉しいことであるため、寄付は誰も損しない仕組みです。

とはいえ、デメリットや注意点は多少あります。それらを把握したうえで、余裕があれば、ぜひ試しに寄付をしてみてはいかがでしょうか。