個人事業主の寄付は税金の控除を受けられる!シミュレーションを元に節税効果を徹底解説

個人事業主の寄付は税金の控除を受けられる!シミュレーションを元に節税効果を徹底解説

個人事業主が特定の団体へ寄付すると、寄付金控除という控除を受けられ、所得税と住民税の節税につながります。

とはいえ、具体的にいくら節税できるのかよく分からないですよね。

この記事では、個人事業主が寄付することによる税制優遇について説明しつつ、実際にいくら税金が安くなるのかについて、条件を元にシミュレーションして解説します。

記事を最後まで読むと、個人事業主が寄付をすることによる節税効果が詳しくわかります。

※税金に関する詳細は最寄りの税務署でご確認ください。

個人事業主の寄付は税金の控除が受けられる

個人事業主は寄付をすると、寄付金控除という税制優遇が受けられます。

さらに、本章ではその背景についても詳しく説明します。

寄付をして確定申告すれば、税金が控除されつつ、社会貢献にもなるのでぜひ活用していきたい制度です。

寄付金控除とは所得税や住民税の控除が受けられること

個人事業主が特定の団体に寄付をすると、所得税や住民税の控除を受けることができます。

この制度が寄付金控除です。

全ての寄付が対象ではなく、寄付金控除の対象となっている団体に寄付をすることが必要となります。

社会貢献になるため優遇されている

寄付をすると税制優遇を受けられる背景には、寄付に社会貢献性があるからです。

税制優遇があることが寄付する動機となり、結果的に団体の活動が積極的にできるようになります。

実際、日本は欧米諸外国と比べて、寄付活動が盛んではありません。

なので寄付金控除制度を充実させ、気軽に寄付できる社会を目指しているのです。

日本が欧米諸国と比較して、寄付が進まない理由が気になる人は、以下の記事を参考にしてください。

個人事業主が寄付する際の注意点

個人事業主が寄付をする際の注意点は、以下の2点です。

  • 寄付先から発行される領収書の保管が必要
  • 個人事業主の寄付は経費にならない

上記の注意点を把握していないと、確定申告ができず節税につながらなかったり、予想より経費が少なくなってしまって納税額が増えてしまったりします。

そうはならないように、それぞれ詳しく解説します。

領収書の保管が必要

個人事業主が寄付して寄付金控除を受けるためには、寄付先が発行する領収書が必要です。

寄付金控除を受けるためには確定申告が必要で、その際に寄付をしたことを証明するために領収書を使います。

ほとんどの対象の団体では、寄付をした後に領収書がもらえます。

銀行振込の場合は、利用明細や振込用紙の控えも証明書として利用可能です。

一方、「寄付金を募金箱に入れる」など領収書発行がないものは、寄付金控除が受けられません。

そのため領収書を発行してくれる団体に寄付し、発行した領収書を保管することが重要です。

個人事業主の寄付は経費にならない

個人事業主の寄付は、経費になりません。

なお、個人で寄付をした場合と同様に、特定団体に寄付をした場合、確定申告で寄付金控除の対象になるので、節税にはつながります。

寄付控除を受けるためには、以下のような仕訳が必要です。

例:特定団体に5万円寄付した

借方貸方
事業主貸50,000円現金50,000円

個人事業主が寄付する際は、確定申告をして節税につなげましょう。

寄付が経費になるのかについて詳しく知りたい人は、以下の記事でも詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。

個人事業主が寄付する場合の節税額のシミュレーション

個人事業主が寄付をする場合の節税額を、以下を前提条件としてシミュレーションしました。

  • 所得:300万円
  • 寄付金額:10万円
  • 所得税率:10%
  • 寄付先:認定NPO法人

認定NPO法人など特定の団体に寄付をすると、寄付金控除で所得控除と税額控除のどちらかを選べます。

所得控除とは、所得から控除することで、税額控除とは納める税金から直接控除することです。

実際に上記の条件でシミュレーションすると、寄付金控除を受けた場合の節税額は9,800円、税額控除を受けた場合の節税額は39,200円です。

よって、税額控除を選択した方が節税効果が高いといえます。

寄付金控除を「所得控除」にした場合

今回のシミュレーションで寄付金控除を「所得控除」した場合、節税額は9,800円です。

計算方法としては、まず以下の式を基に寄付金の所得控除を求めます。

■寄付金控除(所得控除)

寄付金の所得控除は、以下のどちらか少ない方から差し引きます。
①年間の寄付金額ー2,000円②(所得金額×40%)−2,000円

参照元:国税庁

上記の式に今回のシミュレーションの数字を当てはめます。

  • 所得:300万円
  • 寄付金額:10万円
  • 所得税率:10%
10万円ー2,000円=98,000円
(300万円×40%)ー2,000円=199万8,000円

どちらか少ない方なので、98,000円が所得控除額となります。

この98,000円が、課税所得から引かれます。

そして、所得税率は10%なので、実質9,800円の節税効果があるのです。

■実際の節税額

98,000円×10%=9,800円

今回のシミュレーション条件で、10万円の寄付をして寄付金控除を所得控除で受けた場合、安くなる税金は9,800円となります。

寄付金控除を「税額控除」にした場合

寄付金控除を「税額控除」にした場合の計算式は、以下の通りです。

■寄付で税額控除を選んだ場合の控除額

年間の寄付金の合計額-2,000円×40%※政党への寄付は30%

上記の式に、今回のシミュレーションの数字を当てはめます。

  • 所得:300万円
  • 寄付金額:10万円
  • 所得税率:10%

■実際の控除額

寄付金10万円ー2,000円×40%=39,200円

上記の式により、39,200円が本来の納税額から控除されます。

つまり、節税額は税額控除だと39,200円、寄付金控除だと9,800円なので、税額控除の方が節税効果が大きいといえます。

寄付金控除の対象となる寄付先

寄付金控除の対象となる寄付先は、主に以下の6種類です。

  • 国や地方公共団体:公立中学校・公立図書館など
  • 指定寄付金:国宝の修理・オリンピック開催など
  • 特定公益増進法人:独立行政法人・日本赤十字社など
  • 政治団体など
  • 認定特定非営利活動法人など
  • 一般の寄付金:上記以外のもの

いずれの団体も寄付をしたら領収書を発行してくれますので、確定申告まで大切に保管し、寄付控除を受けられるようにしましょう。

ふるさと納税に適用される寄付金控除

個人事業主がふるさと納税をしても、寄付金控除は適用されます。

なお、納税額の上限の目安は、住民税決定通知書に記載された住民税所得割額の2割程度です。

詳しく知りたい方はふるさと納税の各サイトでシミュレーションするとよいでしょう。

個人事業主は寄付金控除のある団体に寄付をして賢く節税しよう

個人事業主は、寄付金控除が適用できる団体に寄付をすると節税につながります。

寄付金控除を受けるためには領収書が必要なので、忘れずに保管して確定申告しましょう。

なお、寄付は経費になりません。

誤って経費計上しないよう注意してください。

個人事業主は寄付金控除のある団体に寄付をして、正しく節税しましょう。


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