NPOとボランティアは何が違うのか、ご存じでしょうか。
社会貢献活動をしているのは同じですが、正確には多少の違いがあります。
この記事では、NPOとボランティアの違いについて詳しく説明します。
また、NPOとNPO法人、さらには社団法人や財団法人、社会福祉法人などとの違いも解説します。
NPOとボランティアの違い
NPOとボランティアは、主に以下の3つのポイントで異なります。
- 活動の主体が団体か個人か
- 給料の有無
どちらも社会貢献活動をしていることに変わりありませんが、多少の違いがあるので解説します。
なお、そもそもボランティアの定義から知りたいという方は、以下の記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてください。
活動の主体が団体か個人か
NPOとボランティアは活動の主体の定義が異なります。
NPOは「民間非営利組織・団体」であり、組織として活動します。
それに対し、ボランティアはあくまで個人の 「自主性」や「公共性」、「無償性」など に基づいた社会貢献活動です。
また、「ボランティア団体」という言葉がありますが、これも組織であるので正確にはNPOに含まれます。
給料の有無
NPOは一般的に給料をもらっている職員がメインに活動に参加しますが、ボランティアは原則無給です。
NPOは非営利団体のため、株主への利益分配は不可能です。
しかし、利益を上げるために事業をすることは可能で、職員への給料を経費にできるため給料をもらえます。
NPOがどのように利益をあげているのか気になる方は、収入源について以下の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。
NPOとその他の団体との違い
実はNPOの他にも似たような団体がいくつかあります。
それぞれの違いを表で簡単にまとめました。
団体の種類 | NPOとの違い |
---|---|
NPO法人 | 法人格を持っているかどうか |
株式会社 | 事業目的が異なる |
社団法人 | 活動内容が違う |
財団法人 | 財産の活用方法が違う |
社会福祉法人 | 事業内容が違う |
NGO | 課題を解決する国が違う |
それぞれ説明します。
NPO法人との違いは法人格を持っているかどうか
NPOとNPO法人は、法人格を持っているかどうかが異なります。
NPOは、ボランティア団体や市民活動団体なども含めた「民間非営利組織・団体」を指す広義の言葉です。
一方、NPO法人は、そのような組織のうちNPO法に基づいた認証を得て、法務局に登記して法人格を取得した団体です。
法人格を持つことで、各種契約や不動産などにNPO法人の名義を使うことができるようになります。
株式会社との違いは事業目的
NPOと株式会社では、事業目的が大きく異なります。
株式会社は、株主に対して経済的な利益をあげるのが目的です。
対してNPOは、事業を通じて社会貢献をするといった社会的な利益が目的になります。
株式会社は得られた利益の一部を株主に分配しますが、NPOは得た利益をさらなる社会課題の解決のために使用します。
社団法人との違いは活動内容
NPOと社団法人の違いは、活動内容です。
社団法人の活動内容は、法律に抵触しなければ、どのような仕事でもできます。
一方、NPOは、社会貢献性を考慮した以下の20分野に活動内容が制限されています。
一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 二 社会教育の推進を図る活動 三 まちづくりの推進を図る活動 四 観光の振興を図る活動」 五 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動 六 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 七 環境の保全を図る活動 八 災害救援活動 九 地域安全活動 十 人権の擁護又は平和の推進を図る活動 十一 国際協力の活動 十二 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 十三 子どもの健全育成を図る活動 十四 情報化社会の発展を図る活動 十五 科学技術の振興を図る活動 十六 経済活動の活性化を図る活動 十七 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 十八 消費者の保護を図る活動 十九 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 二十 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 |
なお、NPOと社団法人との違いについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
財団NPO法人との違いは財産活用
NPOと財団法人の違いは、拠出された財産を中心に活用するかどうかが異なります。
財団法人は、拠出された財産の活用を目的としており、設立には300万円以上の財産が必要です。
一方、NPOやNPO法人の場合は、設立するために資本金の決まりはありません。
社会福祉NPO法人との違いは事業内容
社会福祉法人とNPOの違いは、事業内容です。
社会福祉法人は、社会福祉法に定められた以下の社会福祉事業を行います。
社会福祉事業と公益事業・収益事業の3つに分けられており、NPOが許可されている20分野の活動内容と比較して限定的です。
NGOとは課題を解決する対象の国が異なる
NGOとは、Non-governmental Organizationの略で、非政府組織という意味です。
日本では、NPOとNGOの違いは課題を解決する対象の国が異なることだと一般的に考えられています。
海外の社会課題に取り組むのがNGO、国内の課題に取り組むのがNPOと考えられています。
また、NGOにはNPOのような活動内容の制限がありません。
とはいえ、どちらも個人が主体となって非営利目的に社会貢献活動を行う点では共通しています。
NPOとボランティアやその他の団体には違いがある
NPOとボランティアやその他の団体には、活動内容や課題解決の対象などに違いがあります。
各団体がどのような特徴を持っているか知っていると、各団体の活動への理解を深められるでしょう。