寄付を受けた後、お礼状を書いて送ると相手に良い印象を与えられますが、何を書いたらよいか悩んでいないでしょうか。できれば相手に好印象を与えるお礼状を書きたいものです。
せっかく手間をかけても、正しいお礼状が書けないと相手に失礼な印象を与えてしまい、継続的な寄付をいただけないかもしれません。
この記事では、お礼状に書くべき項目やお礼状を書くときのポイントをわかりやすく解説しています。
記事の後半ではお礼状のテンプレートを用意しているので、ぜひ活用してください。
寄付のお礼状で必要な項目
お礼状とは、寄付をしてくれた方にお礼として贈る手紙で、必要な内容は以下の通りです。
- 頭語:拝啓
- 主文:寄付の内容
- 寄付金の使い道や今後の展望
- 確定申告で寄付金控除ができる旨 ※
- お礼の言葉
- 結語:敬具
※寄付金控除ができる場合のみ記載
なお、頭語と結語は手紙に記載するもので、メールの文面には記載しません。
頭語と結語以外の各項目の役割は以下の通りです。
項目 | 役割 |
主文:寄付の内容 | 名目と金額を伝える |
寄付金の使い道や今後の展望 | 目的の活動に寄付できていることを伝える・安心感を与える |
確定申告で寄付控除ができる旨 | 控除の対象であることを伝える |
お礼の言葉 | 改めて寄付をしてくれたことに対するお礼 |
上記の項目を入れてお礼状の内容を充実させれば、相手に好印象を与えられます。お礼状の内容によっては、寄付の継続につながる可能性があるため、真摯に書くとよいでしょう。
寄付のお礼状を書くときのポイント
寄付のお礼状を書くときのポイントは、以下の5点があります。
- 寄付者に寄り添った内容にする
- 手書きを添える
- お礼状はできるだけ早く送る
- 簡潔に書く
- イラストを添える
上記のポイントを押さえたお礼状が書けると、失礼に値しないお礼状が書けます。
寄付者と良好な関係を築くきっかけになるため、それぞれ詳しく解説します。
寄付者に寄り添った内容にする
お礼状の内容は、寄付者1人1人に寄り添ったものにしましょう。
例えば、宛名を「寄付をした方へ」ではなく、個人名に様をつけるなどが挙げられます。たったこれだけでも、「自分のため」に送ってくれていると思ってくれるかもしれません。
他にも、誕生日月の寄付者にプレゼントをつければ、「誕生日を覚えてくれていた」と喜ばれる可能性がありますよね。
少しの工夫で相手のことを思った内容になるでしょう。
手書きを添える
お礼状の文面は手書きもしくは手書きのようなフォントを使って書くと、相手に読んでもらえる可能性が高まるでしょう。
デジタル化が進んだ現代では、よく目にするフォントは明朝体やゴシック体などの機械的な活字ばかりです。
一方、手書き風の活字は、明朝体やゴシック体にはない「温かさ」があります。
さらに、団体が大量印刷したお礼状という印象から、寄付者1人1人に心を込めて作成したものという印象に変わるでしょう。
すると、読み手は手間暇をかけてお礼状を書いてくれた団体に、好印象を持つかもしれません。
全文を手書きにする必要はないです。付箋などを活用して一筆加えるだけでも、心がこもった印象になります。
お礼状はできるだけ早く送る
寄付を受けたら、お礼状はできるだけ早く送りましょう。具体的には、寄付を受け取ってから2日以内が目安です。
お礼が遅くなってしまうと、寄付をしてくれた方の気持ちが冷めてしまい、団体への印象が悪くなるかもしれません。
とはいえ、寄付金の入金確認や会計処理に時間がかかることもあるでしょう。
そのような時は、寄付をいただいた時にメールですぐにお礼し、後日領収書を送る時にお礼状を添えるのがおすすめです。
簡潔に書く
お礼状を簡潔に書くと読みやすくなるため、相手にも読まれやすくなります。具体的には、以下のことを意識しましょう。
- 一文一義
- なくても意味が通じる言葉は省く
- 過剰な敬語は使わない
一文一義とは、1つの文章に込める内容はできるだけ1つにするというものです。
読みやすく簡潔な文章にするとお礼状の質が上がり、寄付者の目に止まりやすくなります。
イラストなどで読みたくなる工夫をする
お礼状を読みたくなる工夫の1つとして、イラストを入れる方法があります。
イラストを入れると文字だけのお礼状よりも、寄付者の目にとまりやすくなるうえ、内容をより理解してもらいやすくなるからです。
イラストの一例は、団体のメンバーの似顔絵や活動内容をイラスト化したものが挙げられます。
お礼状は文面だけでなく、魅力的なイラストも入れれば、興味を引くものを作れるでしょう。
寄付のお礼状のテンプレート
お礼状をスムーズに書けるよう、テンプレートを用意しました。パターンは以下の通りです。
- 一般的なお礼状
- 香典返しの寄付に関するもの
- 部活動の大会に関するもの
- ふるさと納税のお礼状
受け取り手のことを考えて内容を充実させると、失礼に値しないお礼状が手軽に書けるので、ぜひ活用してください。
一般的な寄付のお礼状
一般的な寄付のお礼状のテンプレートは、以下の通りです。
〇〇様 拝啓 この度は当団体の「〇〇(活動内容)」にご賛同とご寄付をいただきまして、誠にありがとうございます。頂戴した寄付金は「〇〇(寄付金の使い道)」支援に大切に使用させていただき、〇〇(活動の将来像)を目指せるように精進いたします。重ねてお礼申し上げるとともに、今後ともお力添えをどうぞよろしくお願いいたします。 敬具 ────────────────── 〇〇法人 ────────────────── ※この寄付は、所轄税務署で確定申告をすることで、寄付金控除等の対象になります。確定申告書類提出の際は、当団体が発行した「領収証」の添付が必要です。 |
確定申告で寄付金控除等の対象になる旨は、本文に記載せず文末に記載しましょう。
寄付金控除が適用できると知ってもらえれば、将来的に節税目的でより高額な寄付をいただける可能性が高まります。
香典返しの寄付のお礼状
香典返しの寄付のお礼状のテンプレートは、以下の通りです。
謹啓今回ご遺族の方の皆様のご厚意に対し ご香典返しに代えて〇〇に御寄付のお申し出がございました。 ご香典御供進の皆様に厚く御礼申し上げます。 故人のご尊意にお応えし 〇〇(活用内容)ため有意義に活用させていただきたいと思います。 謹白(団体名) |
香典返しの寄付のお礼状には「つつしんで申し上げます」という意味の頭語に謹啓、結語に謹白を使用します。
部活の大会の寄付のお礼状
部活の大会の寄付のお礼状は以下の通りです。
当部活動に対しましては、ご理解ご支援を賜り、誠にありがとうございました。 さてこの度は、皆様から多大なご厚志と温かいご声援もあり、 今大会では〇〇(対戦相手や成績を記載) 皆様からの温かいご声援やご支援に対し、選手はもとより関係者一同重ねて心から感謝いたします。 今後とも当チームに対するご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。 〇〇年〇月吉日 〇〇校 〇〇部監督 〇〇 |
部活の大会は、時期により時候の挨拶を冒頭に入れた方が臨場感が増します。
なお、お礼状は2日以内の送付が理想ですので、大会の時期に合わせた時候の挨拶をあらかじめ用意しておくとスムーズです。
ふるさと納税のお礼状
ふるさと納税のお礼状は、以下の通りです。
〇〇町へのふるさと納税の返礼品として、〇〇を選んでいただき誠にありがとうございます。〇〇(納税場所の情景が浮かぶ内容など) 〇〇(返礼品の説明) 〇〇(例えば食品なら調理方法やおすすめの召し上がり方) 〇〇(ねぎらいの言葉)またご縁がありましたら、どうぞよろしくお願い申し上げます。 |
ふるさと納税のお礼状は、返礼品の説明だけではなく、納税地の情景や魅力を記載すると読まれやすくなります。
また、納税地ゆかりの漫画家やイラストレーターにイラストをお願いできれば、見た目も楽しく、ファンの方々にもばれる内容になるでしょう。
【実例】寄付をしてくれた方へのお礼の方法
寄付をしてくれた方へのお礼の方法を、実例付きで紹介します。今回は寄付をしてくれた方を以下の3パターンに分けて、説明します。
- 初回の寄付者
- 複数回の寄付者
- 多額の寄付者
なお、実例は絶対の正解ではなく、あくまで参考として活用してください。
寄付の回数や金額によってお礼方法を変えると、団体の印象が良くなり、継続的な寄付につながるかもしれません。
初回の寄付者へのお礼
初回の寄付者へのお礼には、感謝の気持ちを伝えるとともに、長期的な支援をお願いできるチャンスでもあります。その機会を逃さないように、以下のような方法でお礼をするとよいでしょう。
- メールでお礼をする時:宛名や寄付金額を入れて、寄付者個人に向けてお礼をしているという姿勢を見せる
- 郵送でお礼状を送る時:領収証を送る時に、お礼状を添えて好印象を残す
- 活動内容を送る:団体の活動内容を送付し、次の寄付の選択肢を示す
寄付直後にメールでお礼状を送り、領収証を送る際にも手紙でお礼状が来るとより丁寧な印象になります。
活動内容の送付をする理由は、寄付者は団体に寄付するのではなく、活動内容に寄付をするといわれているためです。活動内容を把握してもらえれば、次の寄付をするきっかけとなるかもしれません。
複数回の寄付者へのお礼
複数回の寄付者へのお礼は、寄付を継続してくれることに対して厚く感謝を伝えましょう。
さらに、ボランティア活動やイベントなどを案内し、参加の場で感謝を伝えるとより効果的です。
例えば、以下のようなお礼の方法が挙げられます。
- イベント・ボランティア開催:お礼状や領収証を送る時に一緒に案内を入れる
- コミュニケーションを継続する:活動の最新情報や会報誌を送る
- 記念品の進呈:継続の記念(お礼)として送る。寄付の節目に贈ると喜ばれやすい
イベントやボランティアに参加してもらえれば、寄付者と団体が一緒に活動しているという一体感を生めます。
また、活動の最新情報や会報誌で、寄付者と継続的にコミュニケーションを取れば、団体の活動がしっかりと伝わって継続的な寄付につながるでしょう。
他にも、記念品の進呈のように特別待遇をすれば、より好印象を与えられます。
ただし、記念品はお礼の気持ちですので、エコバッグなどお金をかけすぎないのがポイントです。
多額の寄付者へのお礼
多額の寄付者へのお礼は、時間と手間を惜しまずに丁寧に行いましょう。
多額の寄付者は、団体の活動に大きく協力してもらえているといえるです。
具体的なお礼の方法としては、以下のようなものが挙げられます
- 電話で直接感謝を伝える:団体役員など責任ある立場の方がお礼を述べる
- 感謝状や寄せ書き:テンプレートに頼らず個別に作成する
- 名前の公表:Webサイトや会報誌に寄付者の名前を掲載する
- 限定イベントに招待:交流会や現場視察に招待する
- ミーティングの機会を作る:個別訪問などを通して、意見交換を行う
限定イベントに招待することで、団体の活動を見てもらえるので、寄付金が有効に使われているかを見てもらえます。
また、ミーティングの機会を設ければ、感謝を直接伝えられるとともに、意見交換の場にできるのです。
テンプレートを活用しつつ寄付者に喜ばれるお礼状を書こう
寄付を受けた後、相手に喜ばれるお礼状を送れれば。さらなる寄付につながるかもしれません。
お礼状は必要項目を満たしつつも、簡潔に記載すると相手にとって読みやすいものになります。また、イラストを入れると視覚的にも楽しめるため、好印象になりやすいです。
寄付をしてくれた方には、回数や金額に合わせてお礼状の内容を変えるのは、継続的な寄付につなげるためには大切です。
今回ご紹介したテンプレートを活用しつつ、寄付者に喜ばれるお礼状を作りましょう。