近年、日本円での寄付だけでなく、仮想通貨の寄付を受け付けている支援先が増えてきました。
仮想通貨の寄付は、一般的な金銭の寄付に比べて、送金スピードが早かったり、余計な手数料が減ったりするメリットがあります。
一方、仮想通貨でのやり取りに慣れていないと、手続きが難しかったり、詐欺に巻き込まれてしまう可能性があったりするデメリットがあるのです。
そこで本記事では、仮想通貨の寄付のメリットやデメリットを詳しく解説します。
また、寄付のやり方まで説明するので、ぜひ最後まで参考にしてください。
仮想通貨の寄付とは仮想通貨を使って寄付をすること
仮想通貨の寄付とは、支援活動を行っている団体への資金提供を仮想通貨で行うことです。
円やドルのような法定通貨ではなく、デジタルな通貨を利用するため、国境を超えても迅速な寄付ができます。
実際、近年では仮想通貨の寄付を募るケースは増えてきているのです。
例えば、2022年2月27日にウクライナ政府は、Twitter(現X)の公式アカウントにて「仮想通貨の寄付を受け付ける」と公表。
すると、続々と支援が広がり、2022年3月6日時点でビットコインとイーサリアムを合わせて、約2,723万ドル(約6,607ETH+約253BTC)の仮想通貨が寄付されました。
取引回数は実に14,056回におよび、非常に多くの方々が寄付したことが分かります。
この出来事をきっかけに、仮想通貨による寄付は注目を集めているのです。
仮想通貨での寄付は節税にならない
現在の日本では、仮想通貨による寄付をしても、節税の対象とはなっていません。
仮想通貨はまだ新しい通貨として認識されており、税制面での取り扱いが確立されていないことが背景にあります。
とはいえ、日本円で指定の団体に寄付をすれば、節税対策をすることが可能です。
寄付による節税について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
仮想通貨の寄付のメリット
仮想通貨の寄付の主なメリットは、以下の3つです。
- すぐにお金を届けられる
- 手数料が安く済む
- 透明性がある
通常の寄付より、送金スピードや手数料にもメリットがあります。
すぐにお金を届けられる
仮想通貨の送金速度は、現金に比べて非常に早いのが特徴です。
実際に銀行振込と仮想通貨の送金速度を比べると、以下のとおりになります。
送金方法 | 送金速度 |
---|---|
銀行振込 | 通常1〜2営業日 |
仮想通貨の送金 | 約10分 |
上記の表を見ると、通常1〜2営業日なのに対し、仮想通貨の送金は約10分と大きく差があると分かります。
仮想通貨の送金スピードが早い理由は、送り先に直接送金できるためです。
銀行振込の場合、まずは日本の銀行が送金の手続きをして、その後受け取り先の金融機関で手続きをする必要があり、手間がかかってしまいます。
しかし、仮想通貨であれば、送金を仲介する機関を通らずに直接送れるため、スピードが早いのです。
時間的な制約が少なく、すぐに寄付できるのが仮想通貨の寄付の大きなメリットです。
手数料が安く済む
仮想通貨による寄付は、受け取り側に直接送れるため、銀行振込に比べて手数料が安く済みます。
実際に銀行振込と仮想通貨の手数料を比較すると、以下の表になります。
送金方法 | 手数料 |
---|---|
銀行振込 | 1,000円〜3,000円程度 |
仮想通貨の送金 | 無料~ |
上記の表を見ると、銀行振込では1,000円〜3,000円程度の手数料がかかるのに対し、仮想通貨(ビットコイン)は無料で送金が可能です。
仲介業者を介す必要がないため、手数料を安く抑えられるのも、仮想通貨の寄付のメリットです。
透明性がある
仮想通貨の取引は、ブロックチェーン技術によって全ての取引が記録され、その内容を全員で管理しているため、非常に透明性が高いです。
取引履歴は誰でも閲覧できるため、改ざんや不正をしたらすぐにバレるシステムとなっています。
実際にウクライナへ寄付を行った事例では、送金時刻、寄付された仮想通貨の金額などの情報をすべて閲覧できるようになっていました。
仮想通貨の寄付では、寄付したお金が不正利用されていたり、誤った寄付先に送金してしまっていたりするリスクが少なくなります。
仮想通貨の寄付のデメリット
仮想通貨の寄付のデメリットは次の3つです。
- 寄付先が限られる
- 仮想通貨に精通していないとむずかしい
- 詐欺に遭う可能性がある
まだまだ仮想通貨の寄付に対応している団体は少なく、手続きも煩雑であることが多いのが難点となっています。
また、仮想通貨を悪用した詐欺もまだまだ存在するので、注意が必要です。
寄付先が限られる
仮想通貨の寄付を受け付けている団体は、現時点ではまだ限られています。
支援したい団体やプロジェクトが仮想通貨に対応しているかどうか、事前に確認しておくとよいでしょう。
仮想通貨に精通していないとむずかしい
仮想通貨の取引や管理には、ある程度の知識や技術が求められるため、慣れていないと寄付までに手間がかかる可能性があります。
仮想通貨の購入や送金の操作は、人によっては複雑と感じるでしょう。
さらに、1度送金してしまうと取り消せないので、慎重に操作する必要があります。
また、寄付できる仮想通貨の種類が限定されている場合もあり、迷ってしまうかもしれません。
仮想通貨の取引経験がある人の方が、安心して仮想通貨の寄付を行えるでしょう。
詐欺に遭う可能性がある
仮想通貨を悪用した詐欺は、まだ横行しているので送金の際は細心の注意が必要です。
代表的な手法として、詐欺リンクを経由した資産の抜き取りがあります。
例えば、SNSのタイムラインやDMで詐欺サイトのリンクが掲載されていて、そのリンクから送金すると、そのまま泣き寝入りされてしまうなどです。
詐欺サイトを見破るための対策は、主に以下の3つが挙げられます。
- リンクのアドレスが正しいアドレスかを確認する(リンクの誤字脱字など)
- 公式や運営者以外から発信されたリンクをクリックしない
- 知らないアカウントからDMで送られたリンクをクリックしない
上記の対策を心がけて、詐欺から自らの仮想通貨を守りつつ、適切に寄付をしましょう。
仮想通貨の寄付のやり方
仮想通貨の寄付のやり方は実際にやると難しくなく、次の2ステップです。
- 仮想通貨を購入する
- 仮想通貨を寄付先に送金する
銀行振込に比べると慣れない部分がありますが、一度行えばスムーズに進められるようになります。
仮想通貨を購入する
まずは取引所や販売所を利用して、仮想通貨を購入しましょう。
簡単な情報登録と本人確認をすれば、基本的にすぐ購入できるようになります。
なお、手続きの操作は簡単なものの、内容の確認に時間がかかるケースがあるので注意してください。
また、手数料や取扱通貨にも差があるため、寄付を考えている通貨が取扱い対象かや、手数料をきちんと考慮しておくのが重要です。
仮想通貨を寄付先に送金する
次に、寄付を受け付けている団体やプロジェクトのウォレットアドレスを確認し、そのアドレスに仮想通貨を送金しましょう。
送金する際に注意するべきなのが、ウォレットアドレスに誤りがないかです。
一度送金すると取り消せないため、間違ったアドレスに送金してしまうともう手元に戻ってきません。
送金先のアドレスをコピー&ペーストすることを徹底して、誤送金を防ぎましょう。
仮想通貨での寄付は一般化していく可能性が高い
仮想通貨での寄付には、送金スピードの早さや手数料の安さなど多くのメリットがあり、一般的な寄付より便利に支援ができます。
ウクライナ政府のように、仮想通貨による寄付に対応している団体は増えてきているのが現状です。
今後、税制優遇が定められたり、その他の特典がついたりしたら、加速度的に仮想通貨による寄付が一般化していくでしょう。
もし仮想通貨を保有しているなら、少額でも寄付を検討してみてはいかがでしょうか。