寄贈とは?寄贈と寄付の違いや評価方法も解説

寄贈とは?寄贈と寄付の違いや評価方法も解説

寄贈と寄付はどちらも無償で何かを提供するという点で共通していますが、提供対象に違いがあります。寄贈は「物」を提供することを指し、寄付は「お金」を提供することを指します。

これらは混同されがちですが、それぞれの目的や税制上の取り扱いも異なる点があります。

この記事では、「寄贈」についてわかりやすく説明し、ケース別の評価方法や税制上の控除についても詳しく解説します。

寄贈とは

具体的な物品や資産を特定の相手に提供する行為を指します。寄贈により、物品の所有権が完全に移転し、寄贈者はその物品に対する権利を放棄します。

寄贈されるものは「物」が中心で、価値のある美術品や不動産、大型の備品などが寄贈されます。

以下にて寄贈の主な物品を紹介します。

美術品の寄贈

所有している絵画や彫刻などを博物館や美術館に寄贈するケースがあります。これにより、寄贈された作品は一般公開され、文化財として保存・展示されます。

教育機関への設備の寄贈

卒業校や近隣の学校にコンピュータ、図書、スポーツ用品などを寄贈し、教育の質の向上や学習環境の改善に役立てられます。

不動産の寄贈

土地や建物を寄贈するケースもあり、寄贈された不動産は公共施設や福祉施設として利用されることが多いです。

寄贈のメリット

寄贈された物品に対しては、感謝の意が示されることが多く、団体のお知らせ等で紹介されたり、寄贈者の名前が明記されることがあります。

例えば、美術館や図書館では、寄贈者の名前がプレートとして作品や物品に付けられたり、特別な式典が開催されることもあります。

このように、寄贈者の社会的貢献が広く認知され、後世に残ることがあるため、寄贈は単なる物品提供だけでなく、寄贈者の社会的影響力や、公益への貢献を顕在化する重要な手段となっています。

寄贈の税制控除と評価額

寄贈は、物品や資産を提供する行為であり、寄贈した物品の価値に応じて税制上の控除を受けられることがあります。

しかし、寄贈の控除を受けるためには、寄贈先が適切な団体であることや、寄贈した物品の評価額が明確に算定される必要があります。

寄贈された物品の評価額は、その物品の市場価格や公正な価値に基づいて算出されます。以下に評価額がどのように決まるのかを説明します。

新品の場合

新品の物品であれば、その時点での市場価格が評価額として使用されます。市場での取引価格が明確な場合は、これを基に控除額を計算します。

中古品の場合

使用済みの物品の評価には、減価償却を考慮した上で、物品の状態や年数を考慮して公正な評価が行われます。具体的には、物品が購入されてからどれくらい使用されたか、使用頻度や保管状態が大きく影響します。

評価額を算定する際には、中古市場での取引価格や、その時点での市場価値が参考にされます。また、査定には第三者機関や専門業者の意見を求めることが多く、査定結果を基に税制上の控除が適用されます。

美術品などの評価

美術品や骨董品など、一般的な物品と異なり、評価が難しいものについては、専門家による鑑定書が必要です。専門家はその品物の市場での取引履歴や、作品の希少性、文化的価値、保存状態などを基に評価を行います。

特に美術品は、その価値が市場のトレンドや経済状況によって変動するため、最新の鑑定書を用意することが重要です。美術品の寄贈は、税制上も文化的価値を考慮した特例が適用されることがありますが、その適用には詳細な審査が必要です。

不動産や高額資産の場合

土地や不動産を寄贈する場合、まず土地の地価や不動産の評価額を査定します。不動産の場合、場所や面積、築年数、状態によって評価額が大きく異なります。

一般的に、不動産の評価には不動産鑑定士の査定書が必要とされ、土地の場合は公示価格や取引事例を基に評価されます。不動産の評価は、国の税制に基づく基準を満たす必要があるため、税理士や不動産業者と連携することが推奨されます。

控除の対象について

評価額が決定された後、税控除を申請する際には、寄贈の証明書や評価額を裏付ける書類を提出する必要があります。

控除対象となる寄贈は、公益性のある団体(学校や博物館など)に対して行われた場合に限られます。寄贈が公共の利益を促進するために行われた場合、適切な手続きを経て税控除を受けることが可能です。

寄贈では物品や資産の価値を評価しなければならないため、評価額の決定が複雑になることがありますが、寄付では金額そのものが明確なので、寄附金控除を申請する際も比較的簡単です。

 認定NPO法人や公共機関など、一定の条件を満たす団体への寄付は、寄附金控除の対象となります。また、個人の所得税や法人の法人税においても、寄付金額に応じた控除が適用される場合があります。

寄付による節税効果はこちらをご覧ください。

まとめ

寄贈や寄付の違いを理解することで、自分がどのように社会に貢献できるかが見えてきます。 寄贈は物品の評価額に基づいて控除が受けられるため手続きが煩雑になりますが、社会的貢献が広く認知されるメリットがあります。

どちらも大切な支援の形なので、自分に合った方法で取り組んでみましょう。税制面での不明点があれば、専門家に相談するのがおすすめです。