NPO法人が受給できる助成金とは?受給する条件や金額、注意点を解説

NPO法人が受給できる助成金とは?受給する条件や金額、注意点を解説

NPO法人が事業運営の幅を広げるにあたって、助成金を活用するという手段があります。助成金は返済不要で、NPO法人の資金繰りを改善するメリットも期待できます。本記事で、NPO法人が助成金を受給するメリットや調べる方法、申請前の注意点などを解説しました。

NPO法人が受給できる助成金はあるのでしょうか。

結論からいうと、NPO法人が受給できる助成金はあり、うまく活用すれば資金繰りを改善して活動の幅を広げられます。

なお、所定の条件を満たすことが必要です。

本記事では、NPO法人が受給できる助成金の探し方や具体例、受給する際の注意点などを詳しく解説します。

資金繰りに悩んでいるNPO法人は、助成金を活用して活動の幅を広げられるようにしましょう。

NPO法人が助成金を受給する条件

助成金を受給するための前提として、助成金を実施している団体への申し込みと、所定の条件を満たしていることが必要です。

また、審査が行われる場合があるので、必ず受給できるわけではない点は把握しておきましょう。

そのうえで、NPO法人が助成金を受給するには、まずは以下の2点を確認してください。

  • 助成対象団体であるか
  • 助成対象事業を行っているか

助成金の募集要項を見れば、自分たちが受給できるかどうかを確認できます。

また、助成金には申請期日が設けられているので注意してください。

NPO法人が助成金を受給するメリット

NPO法人が助成金を受給できれば、活動の幅を広げられます。

助成金は融資とは異なり返済する必要がなく、キャッシュフローを改善できるためです。

NPO法人が活動を行うためには、やはり一定の資金が必要です。

助成金の受給を通じて、資金不足による制約から解放され、プロジェクトを実現しやすくなります。

NPO法人が受給できる助成金を探す方法

NPO法人が受給できる助成金を探す方法として、以下の3つが挙げられます。

  • 公益財団法人助成財団センターで検索する
  • CANPANで検索する
  • 省庁や自治体のホームページで検索する

上記の方法なら、スムーズに助成金に関する情報を集められるので、詳しく解説します。

公益財団法人助成財団センターで検索する

NPO法人が受給できる助成金-助成情報navi

引用元:助成情報navi

公益財団法人助成財団センターの「助成情報navi」を活用すれば、助成金・助成団体の検索ができます。

キーワード検索に加えて、事業形態や事業分野などの条件指定で検索できるので、自分たちの活動に合った助成金を効率よく情報収集が可能です。

NPO法人が受給できる助成金-助成情報naviの検索画面

引用元:助成情報navi

「助成情報navi」では、助成事業を行っている民間非営利セクターの公益法人・一般法人・特定非営利活動法人だけでなく、公益的な活動を行う企業も利用できます。

CANPANで検索する

日本財団が運営している「CANPAN」を活用して、助成金を検索する方法があります。

「助成制度名」「実施団体名」でのピンポイント検索や「対象事業」を絞り込んでの検索が可能です。

NPO法人が受給できる助成金-CANPAN

引用元:CANPAN

これから募集予定の制度も探せるため、助成金に関する幅広い情報収集を行えます。

省庁や自治体のホームページで検索する

省庁や自治体でも独自の助成制度を行っているので、それぞれのホームページを検索するとよいでしょう。

例えば、厚生労働省では特定の条件を満たした職員を雇い入れた際に「特定求職者雇用開発助成金」を支給しています。

都道府県や市町村でも独自の助成制度を整備しているケースがあるため、ホームページや広報をチェックしてみてください。

NPO法人が受給できる代表的な助成金

具体的にNPO法人が受給できる代表的な助成金を紹介します。

  • ボランティア基金「ゆめ応援ファンド」
  • 自然公園等保護基金
  • 障害児・者(含む難病)に対する自立支援活動への助成

上記はあくまでも一例であり、上記の他にもNPO法人が受給できる助成金はたくさん存在します。

ボランティア基金「ゆめ応援ファンド」

項目内容
助成対象団体・ボランティア・市民活動団体
・ボランティア・市民活動を推進している民間非営利団体
対象となる活動例・学習会・研修会の開催
・調査・研究の実施
・器具・器材の開発・購入
・活動にかかわる市民への啓発の実施
・ボランティア・市民活動団体による先駆的・モデル的活動 など
助成金額・1件につき50万円以内
・ボランティア・市民活動団体による先駆的・モデル的活動の継続助成については1年につき、50万円を限度(3年の場合50万円×3年)
参照元:ボランティア基金「ゆめ応援ファンド」

ボランティア基金「ゆめ応援ファンド」は、東京都内におけるボランティアや非営利団体などに助成を行っています。

学習会や研究会の開催をはじめ、ボランティア・市民活動の開発・発展に関する活動を行っている場合、受給できる可能性があります。

自然公園等保護基金

項目内容
助成対象団体応募時点で活動実績2年以上ある日本国内に活動拠点を有する非営利活動団体
対象となる活動例・自然環境の保全(森林、里地里山、里海の保全・整備等)
・生物多様性の保全(絶滅危惧種や野生生物の保護や調査、特定外来生物の駆除等)
・自然教育・伝承(地域住民や子どもへの環境教育、自然体験、里山文化等の伝承)
・被災地における自然環境等の復興
助成金額・上限100万円(1団体の応募は1件まで)
※自然公園法に基づき指定された自然公園でおこなわれる事業であり、国や自治体等行政との協働事業については1,000万円が上限
参照元:自然公園等保護基金

自然公園等保護基金は、公益財団法人公益推進協会が実施している助成制度です。

自然公園の自然環境の保存・活用するための実践活動や普及啓発活動を行うNPO法人は、助成金を受給できる可能性があります。

障害児・者(含む難病)に対する自立支援活動への助成

項目内容
助成対象団体【営利を目的としない、以下の法人格を取得している団体】
・公益財団法人
・公益社団法人
・一般財団法人・一般社団法人(非営利型に限る)社会福祉法人
・特定非営利活動法人
・認定特定非営利活動法人ほか
対象となる活動例・障害児・者の自立と福祉向上を目的とした各種活動
・障害児・者に対する自助・自立の支援事業
助成金額(1件あたり)・福祉車両(車椅子等の昇降装置を装備した、車両本体の消費税が非課税の車両):300万円
・一般車両:200万円
・物品購入:200万円
・施設工事:300万円
・その他:200万円
※下限金額はいずれも10万円
参照元:公益財団法人洲崎福祉財団 一般助成 応募要領

障害児・者(含む難病)に対する自立支援活動への助成は、洲崎福祉財団が行っている助成制度です。

障害者の自立支援事業や社会福祉活動の一環で、福祉車両や施設工事などを行った非営利団体に対して助成を行っています。

NPO法人が助成金を受け取るまでの流れ

NPO法人が助成金を申請し、受け取るまでの流れは以下のとおりです。

  1. 受給できそうな助成金を検索する
  2. 受給条件を満たしているか確認する
  3. 応募書類を準備し、提出する
  4. 審査結果を待つ

助成金を受給するには、自分たちの団体が助成対象団体に該当し、助成対象事業を行っている必要があります。

受給条件を確認したうえで、募集要項をチェックして必要書類を提出しましょう。

応募書類を提出し、審査結果が出るまでには一定期間かかります。

例えば、令和5年度下期における、障害児・者(含む難病)に対する自立支援活動への助成の申し込みから助成金交付までのスケジュールは下記のとおりです。

  • 受付期間:令和6年1月5日~令和6年2月17日
  • 選考期間:令和6年3月~4月
  • 採否通知:令和6年5月
  • 交付期間:令和6年6月1日~令和6年11月30日

審査の結果、実施団体からの承認が下りれば、助成金を受給できます。

NPO法人が助成金を受注する際の注意点

NPO法人が助成金を受給する際の注意点は、以下の3つです。

  • 助成金の不正受給は絶対にやめる
  • 提出書類・報告資料の準備などの事務負担が発生する
  • 審査結果によっては受給できない場合がある

注意点を把握することで、スムーズに申し込めます。

助成金の不正受給は絶対にやめる

助成金の不正受給は、絶対にやめましょう。

不正受給をすると、団体の信頼が失われてしまい、その後の活動に多大な悪影響が出てしまいます。

実際に、横浜市では過去にNPO法人が助成金を不正受給する事案が発生しました。

また、「助成金を受け取ること」を目的としてNPO法人を設立するのも、モラル上の観点から慎むべきです。

不正受給の調査が行われ、結果的に助成金が回収となったり、罰則を受けたりするリスクがあります。

提出書類・報告資料の準備などの事務負担が発生する

助成金を申請する際には、提出書類や報告資料を準備しなければなりません。

要件に該当していることを、書面で証明しなければならないためです。

助成金によっては膨大な書類を用意する必要があり、時間と手間が発生する点に留意しましょう。

審査結果によっては受給できない場合がある

助成金を申請しても、審査結果によっては受給できない場合があります。

条件を満たしているだけでなく、助成金を実施している団体による審査に通過しなければいけません。

助成金は申請したら必ずもらえるわけでない、という点を押さえておきましょう。

助成金を活用すればNPO法人の活動の幅を広げられる

NPO法人が助成金を活用すれば、活動の幅を広げられます。

条件を満たしたうえで運営している団体の審査に通過できれば、助成金を受給して資金繰りを改善することが可能です。

NPO法人を運営している方は、自分たちが受給できる助成金がないか確認してみてください。